心の音

アクセスカウンタ

zoom RSS ルール/古処誠二

<<   作成日時 : 2006/07/31 09:15   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

ルール
内容(「BOOK」データベースより)
生きることが最も困難だった時代、生きることが最も困難だった場所で。衝撃の問題作。まだ若い作家が、そして現代エンターテインメントが、このような戦争小説を生み出したことは驚きに値する。

(ネタバレ・感想)
 人が人として生きていくルールとは何か?
 戦争という生きること事態が非常に困難な戦場で・・・。

 太平洋戦争末期の日本は世界から異常な世界の住人と認識されていた。
 戦況は、いつ降伏してもおかしくない状況にありながら、上層部の意固地なまでの責任回避がフィリピンのルソン島などで置き去りにされたままの日本人を狂気の世界へ誘う。
 死神といわれながらも鳴神は和泉中隊長から小隊の隊長としてゲリラが出没する地域での物資輸送を命じられる。
 ただそこに待っていたのは飢餓で苦しむか死で楽になるか・・・。

 人が生きていくうえで必ず必要な食料。
 「俺たちは食わずに戦えって命令されてるんだ!」
 敵に勝たない限り飢餓からは解放されない・・・。
 もはや、勝つことなど出来ないと誰もが解っていたこの戦場。

 古処誠二さんは、いま何故戦争小説を書こうと思ったのだろうか?
 蛆の寝床の上に死体が横たわり。栄養不足。脚気。マラリア。過酷なこの状況下で食べるものは草、虫、蛭、蛙・・・。捜すだけで立てなくなる体力。あとは人の死肉・・・。
 統率を失った日本人敗残兵は、生きた日本人を食うために群れからはぐれた兵士を捜し人間自体を食料とするために、餓鬼へと落ちていく。
 
 生きていくうえでの極限状況。まさに地獄。
 毎夜のごとく破裂する自決手榴弾。生きる努力よりも永眠の楽さが目の前を徘徊する。
 読むのがひどくつらくなる描写の数々。正直読んでいて気分が悪くなる部分も多い。
 それでも、目をそむけるわけにはいかない、60年前に我ら先祖の誰かはこの地獄を味わったはずなのだ。
 実際、事実はもっと酷いものであったはずで・・・。文字の羅列で想像する自分たちはまだ良いほうなのだろうから・・・。
 いまの世を嘆きながらもこんな経験はしたくない。と切に願う。

 この話の主題はなんだろうか?
 鳴神、八木沢、姫山、捕虜のアメリカ人スミス。
 彼らは生きることをあきらめなかった。たとえそれが私的な非道の上にもたらされた悲劇だとしても、こんなところでは死ねなかったのだろう。
 自分たちに与えられる地獄の苦痛は日本に在る家族を守ると信じていられなくなっても・・・。
 ただ人としての矜持だけだったのだろうか・・・。人としての尊厳を失うことなく敵の銃口に討たれたかっただけなのだろうか・・・。
 この極限下の「ルール」とは何だ!。

 有史以来、これほど救いようのない通達がなされた軍隊は日本軍以外にない。

 曰く 死人を食うべからず

 後半から見え始める真実は救いようがない。と自分は言い切れない。
 人はどこまでも人という仮面を拭い去ってしまえる。置かれた非情の場所で道徳など生きていくうえでは、ただの御託でしかないのかもしれない。
 人としての尊厳・・・人の羞恥心とはいかなる方向にも向いてしまうものなのだろう。
 それでも、鳴神は死地でなお人として生きようとした。幻覚の狭間に見える現実の中で・・・。

 僕達は戦争を知らない。
 飢えに苦しんだこともない。

 この戦場での出来事が人の本質ではないと信じたい・・・が、人の真実が見えてくる、いや事実起き得る現実として目撃しなくてはいけないのではないだろうか?
 たとえ今は文字の羅列の世界なれど・・・。

 生きることが最も困難だった時代
 生きることが最も困難だった場所での出来事を・・・。
ルール

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
ルール/古処誠二 心の音/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる