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zoom RSS 赤い指/東野圭吾

<<   作成日時 : 2006/08/01 16:27   >>

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赤い指
出版社 / 著者からの内容紹介
直木賞受賞後第一作。構想6年の後に書きあげられた書き下ろし長編小説、ついに登場! 身内の起こした殺人事件に直面した家族の、醜く、愚かな嘘に練馬署の名刑事、加賀恭一郎が立ち向かう。ひとつの事件を中心に描き出されるさまざまな親子像。東野圭吾にしか書き得ない、「家族」の物語。
『放課後』でのデビューから数えてちょうど60冊目にあたる記念碑的作品。

(ネタバレ・感想)
 待ちに待った新刊である。
 直木賞受賞後第1作。「放課後」から60冊目となる本書も現在の社会性を風刺するかのようです。

 前原昭夫は認知症の母と実家で同居している。妻、息子を交えて四人暮らし。
 ある日、至急帰ってきてくれと妻から電話がかかる。帰宅するとそこにあるのは、少女の死体。息子の直巳が殺してしまったのだ。悩みながらも隠蔽しようと決意する昭夫。そこから前原家の悲劇が始まるのだが、実は悲劇はもう何年も前から始まっていたのである・・・・。

 テーマは親子。それも2世代にわたる親子である。老人性認知症を抱えた子。そしてさらにその子供。高齢化社会、福祉行政、少年犯罪と多種にわたる問題を抱えた一家の物語を加賀刑事、松宮刑事の親子感も交えて見事な着地を見せたとおもいます。

 「平凡な家庭など、この世にひとつもない。外からだと平穏な一家に見えても、みんないろいろ抱えているもんだ」
 加賀刑事の言葉に今現在の社会性が見える気がしました。

 自分も少なからず関係ないといえない年齢になりました。本書を読んで兄嫁を想像したぐらいですから、似たことなどどこにでもあることなんでしょうね。間違いなく兄嫁は嫌いですから・・・。

 「あれが今の日本家庭の一典型だ。社会が高齢化していることは、何年も前からわかっていた。それなのに大した準備をしてこなかった国の怠慢のツケを、個人が払わされているというわけだ」
 「世の中の多くの人が抱えている悩みだ。国が何もしてくれないんだから、自分で解決するしかない。」
 加賀刑事の言葉はその通りだとは思うのですが、少なからず国の前に個人での解決もまた必要なことの様に思います。
 特にこの前原親子のような状況であればなおさらです。
 「この家には、隠された真実がある。それは警察の取調べ室で強引に引き出されるべきことじゃない。この家の中で、彼等自身によって明かされなければならない」
 親に限ったことではない。根本的な思いやり・・・。表面的な馴れ合いに終始して、それについて心ここにあらずでは誰も救われない。親子であればなおさらであるものを・・・。いつまでも体裁にこだわれば本質は泡と消えて見えなくなる。

 「・・・前原さん、あなたはおかあさんの目を真剣に見つめたことがありますか」
 どの場面を見ても加賀刑事がカッコ良すぎます。「卒業」再読時の人物像の違いが吹き飛びました。

 今回の加賀親子のそれは唯一救われる部分に写るのですが、この心の関係になるためにはどれだけの衝突があったかはわかりません。心のつながり、心に寄り添う二人の関係とはいかなる理解のもとに成しえているのでしょうねぇ・・・。
 小説中の将棋について、加賀刑事が頻繁にメールをやりとりする場面があったので、なんとなく相手は・・・と思っていたら・・・やっぱり。
 かなり嬉しい結末でした。(願わくば、加賀自身の新しい家族の話も・・・・・。)

 お互いが理解し納得している・・・そこにはもはや言葉の壁を介する必要がなくなっているのかもしれませんねぇ・・・。
 それは愛情に対する恩ではなく果てしない程の感謝の気持ちだけがあるからなのかなぁ・・・。
 難しいことだとは思います。それでも、そんな親子でありたいと願わずにはいられない。
赤い指

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タイトル (本文) ブログ名/日時
「赤い指」を読了
東野圭吾さんの最新作、『赤い指』を読了。エッセイ集は出ていたものの、フィクションは『容疑者Xの献身』以来ですから、ほぼ1年ぶりに手にした東野圭吾作の長編小説。ゆっくりじっくり味わいたいと思っていたのです... ...続きを見る
Gotaku*Log
2006/08/01 16:52
(書評)赤い指
著者:東野圭吾 赤い指価格:¥ 1,575(税込)発売日:2006-07-25 ...続きを見る
たこの感想文
2006/08/12 05:03
東野圭吾【赤い指】
なかば怒りながら読んでいた。 ...続きを見る
ぱんどら日記
2006/08/19 01:14
赤い指 著者:東野 圭吾
≪採点(読むなび!参照)≫ 合計:70点 採点内訳へ ...続きを見る
読むなび!(裏)
2006/08/19 21:56
『赤い指』東野圭吾
赤い指 東野 圭吾 2006年 講談社 P.270 ★★★★★ この家には、隠されている真実がある。それは警察の取調室で強引に引き出されるべきことじゃない。この家の中で、彼等自身によって明かされなければならない。 捜索願の出ていた少女の遺体が発見された。 ...続きを見る
ほんだらけ
2006/08/20 00:16
赤い指
東野圭吾さんの最新作。本当は「容疑者Xの献身」の方から読まないといけないらしいが、私の場合、逆になってしまった。というか、先日読んだ「殺人の門」があまりに印象的だったので、つい書店でふらふらと衝動買い。 かなりさらっと読めてしまう作品。読みやすいということは悪く言えば表層的ということだ。 老人介護、ひきこもり、バカ親、ロリコン、いろんな問題を詰め込んではいるのだけれど、あまり深くはない。 何よりも、幼女殺人を犯してしまった中学生の息子を、「将来のため」という理由で隠蔽工作をするバカ親の醜悪... ...続きを見る
映画と文芸のスクランブル
2006/08/21 11:31
赤い指、東野圭吾
装幀は緒方修一。 1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞。1999年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞を受賞。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞。主な作品『宿命』『白夜行』『幻夜』『どちらか& ...続きを見る
粋な提案
2006/08/26 02:04
■ 赤い指 東野圭吾
赤い指 東野 圭吾 ...続きを見る
本を読んだら・・・by ゆうき
2006/10/13 01:57
【赤い指】 東野 圭吾 著
読み始めて、何かいやぁな予感… ...続きを見る
じゅずじの旦那
2006/10/14 09:33
「赤い指」
 何とかしてやりたいと思いつつ、何も出来ない日々が続いた。諦めているのか、春美や ...続きを見る
COCO2のバスタイム読書
2006/11/06 00:43
赤い指<東野圭吾>−(本:2007年25冊目)−
講談社 (2006/7/25) ISBN-10: 4062135264 ...続きを見る
デコ親父はいつも減量中
2007/03/08 00:25
東野圭吾『赤い指』
赤い指講談社このアイテムの詳細を見る ...続きを見る
itchy1976の日記
2009/09/14 14:27
「赤い指」東野圭吾
東野圭吾「赤い指」を読んだ。(一部ネタばれあり)      この作品は直木賞受賞後第一作。流行作家、東野圭吾のデビューから60冊目だそうだ。私は東野の作品を、それなりに読んでいる。「容疑者Xの献身」 「ガリレオの苦悩」  「聖女の救済」、「さまよう刃」... ...続きを見る
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2009/11/18 18:00
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ご本といえばblog
2010/03/02 23:25
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「あ、これ一度読んだことがある」と、 数十ページ進んだところで気づいた。 とうとうボケが始まってしまったか(泣) ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
カイさん、今日は。
巨編にはない面白さがあった作品でしたね、『赤い指』。

東野さんは、お父さんのことをよく語っておられますが、それはいつも、互いの強い愛情や絆を感じさせるものでした。
ですから、最後のどんでん返し(?)は、加賀親子というより東野親子の精神的な絆を披露したものだろうと、妄想しました。

また、次の一冊が出るまで、悶々とした日々を送ることになるのですね。
はぁ〜。
眠り猫
URL
2006/08/01 17:37
>加賀親子というより東野親子の精神的な絆を披露したものだろうと、妄想しました。

いやいや、それは妄想ではないかもしれませんよ。読んでいるとき似たような人がいたぞと思っていたんですが、そうですよ東野さんの親父さんですよ。その妄想に一票。

>また、次の一冊が出るまで、悶々とした日々を送ることになるのですね。

そうですね。ちょっと今回も楽し過ぎましたからね。新刊情報待ち遠しいですね。「黒笑小説」のなかに出てくる「虚無僧探偵ゾフィ」が気になっているのですが、刊行されたりはしないですよね。
カイ
2006/08/01 20:14

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