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zoom RSS 聖女の救済/東野圭吾

<<   作成日時 : 2008/10/26 23:22   >>

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聖女の救済
文藝春秋
東野 圭吾

ユーザレビュー:
実に面白い!読みはじ ...
完全犯罪 本当に面白 ...
一気読みよみでした! ...
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■内容紹介■
 ガリレオが迎えた新たなる敵は・・・・・女。

 男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。
 湯川が推理した真相は・・・・・・・・・・・「虚数解」。
 
 理論的には考えられても、現実的にはありえない。

(ネタバレ・感想)ねたばれ警報!読後の方のみ閲覧してください。 
 湯川学シリーズ長編第2作目となる本書である。
 金、土曜と2日かけて「ガリレオの苦悩」と合わせて読み終えた。
 こんな至福があるか?と感慨深くなりながら、もう読み始めたらまったく他のことをしたくない状況に浸りきった2日間でした。

 IT関連会社社長である真柴義孝が自宅で毒物により殺害された。
 有力な容疑者と考えられるのは妻である真柴綾音と第1発見者である若山宏美。内海刑事は綾音の不可解な行動から綾音が怪しいと捜査を行うが、上司の草薙主任は完璧なアリバイのある彼女が犯人であるはずがないと第3者説を唱え真っ向から対立する。
 そこで、内海刑事は湯川准教授へ草薙に内緒で捜査協力を依頼したのだが・・・。

 本作の時系列をみると「ガリレオの苦悩」(落下る おちる)の次にあたる感じです。
 読むなら一度(落下る)から「聖女の救済」を読んで(操縦る あやつる)へ読み進めればちょっとしたエピソードが繋がって見えてきます。いわゆる愛するインスタントコーヒーですが・・・。

 「容疑者Xの献身」での事件によりライバルであり親友の石神が逮捕されたことから、湯川准教授は事件捜査に一切関わろうとしなくなります。
 そこへ登場するのがドラマではお馴染みの内海薫ですが、初登場したのが2006年に発行された「オール讀物9月号」(落下る)からであり、(「ガリレオの苦悩」に収録。)本書が2006年「オール讀物11月号」からの連載ですから、本作が2度目の登場ということになるかと思われます。
 ドラマ「ガリレオ」の企画が2006年末ですから、遡ること数か月前に内海薫は誕生しておりました。
 東野さんの要望で女性なら、登場中の内海薫に合わせてほしいということでドラマが先行したようです。
 ドラマと違うのは、オリジナルはやや優秀な面を備えているというところでしょうかね。
 そして、ガリレオ先生を捜査協力へ引き戻すきっかけとなったのが内海刑事のこの一言から始まりました。
 「草薙さんは」・・・・・「恋をしています」・・・・・「容疑者に、です」
 友人が殺人事件の容疑者に恋をするというのは、前の事件で経験済みの湯川にとって今回のこの内海刑事の発言は捜査へ駆り立てる理由としては充分だったのでしょうね。

 内容としては、今回も前作に勝るとも劣らない人間ドラマでした。
 湯川と内海による新コンビの掛け合いは、前作から疎遠になってしまった湯川と草薙の間柄にも多大な影響を及ぼす結果となり、お互いの信頼関係が実は壊れてしまったわけではないことをほのぼのと語ってきます。なんとも言えないシーンがこちら、
 「君たちはまさか、グルじゃないだろうね」
 「はあ?」
 「草薙と一緒になって、僕を引っ掛けようとしているんじゃないだろうね、と訊いているんだよ」
 「先生を引っかける?どうしてですか」
 「警察には協力しないと決めた僕の知的探求心を、実に見事にくすぐってくれるからだよ。草薙の恋の行方という、危険な香りのするスパイスまで効かせてね」
 
 東野さんは常々、自分は女性を描くことが下手なのだと言うことが多いのですが、そんな事は微塵も感じることはありませんでしたね。
 正直まったく解りませんでしたし、真相がわかった瞬間、これまで読んできた意味不明な点が伏線として配されていた事に気づき、ことごとく繋がりを見せてくる衝撃は何とも言えないものでした。
 湯川をして「おそらく君たちは負ける。僕も勝てないだろう。これは完全犯罪だ」と言わしめた「虚数解」なるトリック
 「・・・・・普通の人間は、どうやって人を殺すかに腐心し、労力を使う。だが今回の犯人は逆だ。殺さないことに全精力を傾けた。こんな犯人はいない。古今東西、どこにもいない。理論的にはありえても、現実的には考えられない。だから虚数解だといったんだ」
 本当によく考えつくものだと感心してしまいます。

 本書のタイトルである「聖女の救済」の意味が最後に語るものはなんだろうか?‘かわいさ余って憎さ百倍’というがまさにそのままだということだろうか。
 聖女はただひたすらに彼を救済しつづけ、終焉を迎えたときに事件は起きた。
 だが、実のところ終焉は結婚前に迎えていたはずなのだ。
 ここがスタートだと思った場所が実はゴールだと言われたときに・・・。
 聖女にとっては、ゴールの位置からは一歩も前に進むことはできないのだ。
 唯一彼を救済し続けることだけが、彼女に残された愛情表現なのだから。
 そして、それこそが彼女にとっても自らの心の救済ではなかっただろうか。
 それだけに愛の含む歪みとは恐ろしいほどの力を秘めているのだろう。
 
 
 そういえば本書にはちょっとしたお遊びもありました。「容疑者Xの献身」映画化繋がりなのか、内海薫が福山雅治のアルバム聞いてたりする場面があるのですが東野さんらしいといえばそうなのですが、何か無理やり入れてる感じがあり福山雅治の文字が妙に浮いてる感じがしましたが・・・。
 如何なものだったでしょうねぇ・・・

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「聖女の救済」東野圭吾
「これは完全犯罪だ」 男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。湯川が推理した真相は…虚数解。「ガリレオ」情念の長篇。  読みました。内容的には、「容疑者χの献身」ほどずしりと重い内容ではなく、トリック自体も「探偵ガリレオシリーズ」に相応しいものだったと思います。 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして♪
コメント&TBありがとうございました。

やはりガリレオシリーズ、面白いですね〜
私も「ガリレオの苦悩」から続けてこちらも読んだのですが、期待通り楽しめました。

東野作品の魅力はなんと言っても、謎解きだけに終わらず、犯人の深い心理が描写されていること。
この作品は女性なら誰もが頷ける辛い事実を背負った犯人が可哀相でもあり、またここまでの行動に及ばなければならなかった哀れさをも感じました。

一気に読めますが、読み応えは充分。
「容疑者X〜」ほどのインパクトはなかったものの満足な一冊でした。

こちらからもTBさせていただきますね。(上手く入るとよいのですが^^;)
choro
URL
2008/11/20 20:38
choroさんコメント&TBありがとうございます。
自分も2冊連続で一気読みでした。
東野さんの文章では、犯人の背景や心理は常にシンプルに解り易く描かれますから、入っていきやすく読みやすいという特徴がありますね。
 基本は、映像を思い描いてから文章にするからとのことですが、面白いうえに読みやすいときては読まずにいられませんね。
カイ
2008/11/21 08:07

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