たぶん最後の御挨拶/東野圭吾

たぶん最後の御挨拶
この1冊で東野圭吾のすべてがわかる!
『放課後』で乱歩賞を受賞、順風満帆な作家生活が始まるはずだった--。『秘密』でブレイクするまで10年、直木賞受賞まで20年の日々
『容疑者χの献身』で各ミステリーベストテン&直木賞の5冠達成、映画化された『手紙』は文庫史上最速で130万部突破と、超人気作家の1人である東野さんにも雌伏の時代はありました。史上2番目の若さで乱歩賞を受賞、大阪から上京し、作家として順調な滑り出しだったはずが--。何度も文学賞の候補に上がりながら落選し続けること10数回、ようやく『秘密』でブレイクしたときには10年、6回目の候補で直木賞を受賞したときには20年。デビュー以来小説に対する確固たる信念と、大阪人ならではの苦境を笑いとばす姿勢は変っていません。東野ファンにとってはもちろん、誰もが元気が出る1冊です。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
打たれ弱かったら作家になんかなってない。下手なエッセイ書く暇あるなら、もっと小説書かんかい!文学賞落選記録15回!―「押し続けていれば壁はいつか動く」と信じ続けた20年の日々。

(ネタバレ・感想)
Ⅰ 年譜
 1958年から2006年までの東野さんの歴史を笑いを交えてご本人で紹介。
 
 東野さんの歴史をさらっと読んでみると、苦労をものともせず邁進した日々のようですが、やけにならずに今も作家:東野圭吾が存在していることが本当にうれしい。
 本が見つからずに、もういなくなってしまったのかなんて程、書店になかった時期もありましたからねぇ・・・。

Ⅱ 自作解説
 「放課後」から「使命と魂のリミット」まで発刊本すべてについて、当時の思いや執筆のきっかけなどがエピソードを交えて紹介されています。

 昨年2月にでた「野生時代」2月号の内容とちょっと違う内容も盛り込まれていて併用して読むと尚詳しく解りますね。「使命と魂のリミット」の主眼がそういうことだったのか、と理解できたことは良かったです。もう一度、変に勘ぐらずに読んで見なければね。

Ⅲ 映画化など
 「秘密」「g@me」「レイクサイド マーダーケース」「手紙」の映画化されたときの思い出や劇場用パンフレットの文章など、「怪笑小説」創作落語への実現等の裏話など盛りだくさんでご紹介。

 映画化の話についての裏話は結構読んでいた気がするのだが以外と知らない話が多くて得をした気分である。今後もまだまだ映画化されていくのだろうなぁ・・・。
 映画監督:東野圭吾はいつ立ち上がるのかな・・・。

Ⅳ 思い出
 年譜の中からさらに詳しい裏話、大学卒業から就職・退職にまつわるお話など興味深いお話で彩られた「聞いてしまっていいのか?」的なお話。

 正直おかしいです。というよりここまで前向きに話を展開させて事実直木賞までとってしまった東野さんはやはり只者ではない。

Ⅴ 好きなもの
 「巨人の星」やら「あしたのジョー」やら、「スター・ウォーズ」等など、ガメラについてはちょっとうんちく自慢もありの話など、文字通り東野さんの好きなものについて盛りだくさん。

 自分は宇宙を舞台にした映画がなぜか好きになれないでいる。その最もたるものが「スターウォーズ」なのだが・・・。一度全編を通してみてみようかな、と本当に思う今日この頃です。

Ⅵ スポーツ
 マリーン・オッティ選手やら、東野さんの遠い親戚らしいハギトモ(元水泳選手)への思いやらスポーツ大好きな東野さんのお話。

 ハギトモが親戚になるまでの流れが笑えてしまう。見得をはるのも体外にしとかないとなんて思っていた矢先のオチ。ほんとかよ~と横目で疑ってしまいそう。
 でもほんとに親戚なんですよね。

Ⅶ 作家の日々
 東野圭吾さんの飼猫「夢吉」にまつわるお話やら日常生活の過ごし方やら、より身近に感じることのできる内容になってます。

 夢吉をこの目で見てみたいものです。

あとがき
 東野ファンになって22年目を迎えたときに本書のこのあとがき・・・。
 なんとも切なくなってきた。自分は決して良い読者ではないのだろう。
 という思いはありながら小説家:東野圭吾が書く文章が好きでたまらない。それは、小説という形に囚われることは正直まったくないのだ。

 ‘下手なエッセイ書く暇あるなら、もっと小説書かんかい’てなことは東野さん本人が気にしていることであろう。その気持ちも解らないまでも解ろうとすることは出来る。
 が、読者は本当に望んでいないのだろうか?エッセイなんてという人でもいるのだろうか?

 確かに小説が好き、文章が好き、登場人物のカッコ良さ、カッコ悪さ、時にグサリとくる一文に頭を悩ませ、時に驚き、気分が悪くなることもあるのだが、それをひっくるめて東野圭吾が紡ぎだす文章には何か?惹かれていく魅力があるのだ。
 それは、22年前「放課後」に出会った日からまったく変わってはいないし、小説に限ったことでは決してない!

 東野さんの‘思ったままをそのまま文章にすれば良い’という言葉の泉から湧き出る文章にはエッセイであろうが、小説であろうがまったく変らない視線があるように思う。
 そして、その視線の先に見えるものは、おそらくまったく違った風景なのだろうけど、そこから授かる風景はやはり東野圭吾の文章がもたらす風景であり、それを感じたいと思える小説家はそう多くはない。
 だからどうだと・・・言えたりもしないのだが・・・。
 
 それが東野さんの思いであるとしても、なんだか切ないねぇ・・・。
 「たぶん・・・」という一言がもたらす明るい未来に期待してやまない。

この記事へのコメント

2007年02月07日 12:39
カイさん、今日は。

>本が見つからずに、もういなくなってしまったのかなんて程
ありましたねー、そんなことが。
今はインターネットで色々な情報が取れますが、昔は書店の新刊情報だけが頼りでした。そのため、長期間に渡って本が出ないと、大きな不安に駆られたものでした。

ガメラ・あしたのジョーへの興味はゼロでしたが(ちばあきおさんの方が好きでした)、他の「好きなもの」は、相槌を打ちながら読みました。
「トロン」なんて懐かしい名前も出て来て、東野さんも観たのかと嬉しくなりました。
「スターウォーズ」は、今の時代に見ると詰まらないかもしれません。
私は、内容よりも、製作技術の凄さに圧倒されました。

>夢吉をこの目で見てみたいものです
本当に見たいですね。
でも、夢吉の余命を思うと気持ちが重くなります。
このエッセイ集は夢吉だらけですが、東野さんはこんな形で夢吉を残そうとしているのではないかと妄想してしまいました。

「たぶん」に期待を託しましょう!
ファン歴22年目にして、初めてファンレターを送ってみようか?という気持ちになりました。^^
2007年02月07日 18:08
眠り猫さんコメントありがとうございます。

 かなり愚痴っぽく書きましたが、東野さんの言われることはそうなんだろうなと思ってはいるのです。本書の中にもあった作者と読者のルールについてなど‘なるほど’東野さんらしいなんて勝手に納得したりもしたのです。
 が、とつけずにはやはりいられないんですよねぇ…。
 
 本書の表紙は夢吉の背中なのでしょうか?けむくじゃらですからねぇ。
 そんなこんなしてみると、夢吉を残そうとしているという点ではそうかもしれないと思えますね。

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