サクリファイス/近藤史恵

サクリファイス
(「BOOK」データベースより)
 ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ―。
 二転三転する真相、リフレインし重きを増す主題、押し寄せる感動!自転車ロードレースの世界を舞台に描く、青春ミステリの逸品。

(ネタバレ・感想)
 もう何年ぐらい前だろうか?
 曽田正人さんの「シャカリキ」というコミックにはまったことがある。
 その内容がまさしく本書と同じロードレースだった。
 日本では、今でもそれほどメジャーではないスポーツかもしれないが、「シャカリキ」を読んでいるときはかなり熱くなって読んだものだった。
 本書「サクリファイス」とはちょっと視点が違うとは思うのだが、ロードレースの面白さ、熱さは「シャカリキ」から学んでいた分すう~っと入っていけた気がする。

 あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ―。

 勝つことにどんな意味があるのか?意義を見出せない主人公、誓はロードレースのチームでアシスト役に徹することで自分の居場所を見つけた気でいた。
 だが、 人々の欲望、勝利への執着心、不動のエース、それを支える人、そしてエースを乗り越えようとする新たなスター、他者への羨望、ねたみ、色々な想いが交錯する中に浮かんだ、過去に起こった忌まわしい事故。
 本当に事故だったのか?
 新たな真実が、更なる悲劇の序章であるかのように・・・。

 かなりハラハラドキドキで一気に読んでしまいましたね。
 二転三転する真実から見えたものは、正直悲しいというか切ないものでした。
 誰かのために走ったのはアシストだけではなく、みながお互いに誰かのために走っているのだと、決められたレールではない、個人プレーからの競作もありえるんですねぇ・・・。
 なにもそこまでする必要は・・・なんて思ってしまうのは、自分が狭量だからでしょうかねぇ?
 後味の悪さの先に見えた太陽の存在がこれほどまでにすっきりと気持ちよく転換されたのはひとえに主人公の人物感のなせる業でしょうか?
 なんとなく手にとってしまった本書でしたが非常に面白かったですね。
 近藤史恵さんの作品をもっと探してみましょうかね。

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    Excerpt: 紳士のスポーツであり過酷なスポーツでもあるロードレース。日本ではほとんど注目されることのないスポーツだ。チーム・オッジの若手・白石誓は、エース・石尾から同期・伊庭と共にツール・ド・ジャポンに出場するよ.. Weblog: 蓮に鷺 racked: 2007-11-27 20:29