使命と魂のリミット/東野圭吾

使命と魂のリミット
内容(「MARC」データベースより)
心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。あの日、手術室で何があったのか? 今日、何が起きるのか? 心の限界に挑む医学サスペンス。

(ネタバレ・感想)
 “人間というのは、その人にしか果たせない使命というものを持っているものなんだ。誰もがそういうものを持って生まれてきてるんだ。”

 人は何か使命を背負って生まれてくる。
 それを成すに足る努力と葛藤が人の生きる意味。

 かの有名な坂本龍馬も「世に生をうけるは、事を成すにあり」というぐらい生まれてきた意味は事を成すことだとのたまっておられる。
 だが使命というものが我々に本当にあるのだろうか。
 何かの本では、神が必要とするひとは早く死ぬ。世の中にろくでもないのが横行するのは、神が有益でない人は死なせないからだ。というようなことだったと思うのだが・・・。
 どちらが真実なのでしょうかね。あるいはまったく別のところに真理があるのかも・・・。

 と相変わらず出だしが関係ないことから始まってしまうのだが、本書をどう捉えていいのかちょっと自分でも解らないのが正直なところである。
 現在の医療を取り巻く背景というのはこんな感じなのだろうか?
 面白くなかったかと言われれば楽しく読めたので正直文句はないのだが・・・。

 何かぼやけた霧の中をただ歩いただけのこの感覚?
 出だしは医療に対しての色々な問題を鋭く抉り社会派サスペンスになるのかな?と思っていたのだが・・・。
 最終的にはあまり深く踏み込むこともなく、いつの間にか車のリコール問題が、そしてそれを取り巻く環境・人に問題があるのだと主題が変り始め、求めている部分がぼやけてしまったのだろうか?

 夕紀にとっての父の存在がこの物語の発端である。大動脈瘤の手術の後にあっけなく逝ってしまった父。 当時中学生だった夕紀は、ふと思い出す中学時代の記憶からひそかにある疑惑を抱いていた。
 現在、帝都大学病院で研修医として、父の執刀医だった教授・西園に指導を受けている。
 素晴らしい技術を持つ西園に対して夕紀の疑惑は深まるばかり、そしてその疑惑解消に向けて探る夕紀なのだが・・・。

 時を同じくして、帝都大学病院の看護師・望の恋人となった穣治。病院内のある特定の入院患者についての情報を得ることから、もう一つ別のステップの物語が展開する。

 物語の流れからほぼ先を見通せてしまうあたり、東野さんにしては珍しい感じ・・・。らしからぬと言えばそうなのか?
 だが、なぜか最後の手術の模様からの展開は正直目が潤んでしまう。落ち着く場所をこの位置にした意図が何かあったのかなぁ。

 ミステリーではなくサスペンスか・・と思えば人情物語?
 と読みやすいためにすらすら進んでしまうのだが何か捉えどころのないまま感動だけはしてしまった・・・かな。
 さくっと読むのには手頃なんですが、驚きが一つほしかったなぁ。
 えぇぇ・・・そうだったのかという思い一つでかなり違うんですがねぇ・・・。
 
 まあ何にしても全然新刊が出ないよりはいいのかな。

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