ガリレオの苦悩/東野圭吾

■内容紹介■
「悪魔の手」と名乗る者から、警察と湯川に挑戦状が届く。事故に見せかけて殺人を犯しているという彼に、天才科学者・湯川が立ち向かう

(ネタバレ・感想)
落下る(おちる)アイデアがあるなら試せばいい。価値のない実験なんかない。
 マンションの一室から女性が転落死した。内海刑事は、転落死を目撃した岡崎が犯人ではないかと捜査を進める。しかし、転落する場所を下で目撃するためのトリックを考えられずに湯川准教授を訪ねるのだが・・・。
 ドラマ「ガリレオ」のスペシャル版で湯川の若い頃のエピソードとして放映された内容が、内海薫初登場の作品。
 巷では、テレビのために作られたキャラなどとまことしやかに言われているが、事実はテレビに女性を登場させるなら、現実に登場している内海薫にしてもらいたいとの要望を東野さんが出したらしい。元々「容疑者X・・」以降に女性を配することは直木賞後のインタビューにも書かれている。
 正直、内海薫が頭の中で柴崎コウさんになってしまって、振り払うのに苦労した。湯川准教授はさすがに自分の中にいる湯川で読み終えられたがドラマというのもやっかいだなぁ・・・。

操縦る(あやつる)人の心も科学です。とてつもなく奥深い
 かつて帝都大の助教授であった友永の家の離れが炎に包まれ炎上した。離れには友永の長男が住んでおり焼け跡から死体で発見される。当初は放火の疑いであったが、死体には日本刀のようなもので刺された貫通痕があり殺人として捜査されるのだが・・・。 
 こちらも、ドラマ「ガリレオ」のスペシャル版で放送されました。東野さんの書籍で、映像を見てから原作を読んだのは今回が初めてだったが、やはり原作を先に読んでおくべきだなと思わずにはいられない内容でした。
 「容疑者Xの献身」がまあ原作に忠実に描かれていたものでつい観てしまったのですが、映像が原作を超えたことはやはりない。

密室る(とじる)人間が生み出した謎を解くには、人間のことを知っておく必要がある
 かつての友人である藤村が経営するペンションへ湯川は招かれやってきていた。当初草薙に相談した藤村は、彼から「湯川に相談しろ」と薦められて彼をペンションに招いたのだ。10日前にペンションで起きた奇妙な密室事件を解決するために・・・。
 かなりページ的には少ないかもしれないが内容は非常におもしろい。かつてのライバル、かつての恩師、今回はかつての友人とかなり近しい人たちの設定が続いている感じである。本作に草薙も内海も登場しない、しかし、これはこれで非常に興味深い創りである。

指標す(しめす)神秘的なものを否定するのが科学の目的じゃない
 大きな屋敷に住む75歳のお婆さんが首を絞められて殺害された。なくなっていたものは金の地金10kg、そしてその家で飼われていた犬。容疑者は保険のセールスレディだったが金を所有している気配がない。そんな時娘は母の無実を証明するため犬の所在をダウジングで見つけるのだが・・・。
 内容的にはダウジングという、いわゆるオカルト系ではあるが、なぜか静かな穏やかな文章と感じて読めてしまい不思議な感じがする。これは湯川准教授が人として成長し神秘的な魅力を放つからだろうか?

攪乱す(みだす)魔法なんてものは、この世に存在しない
 「悪魔の手」と名乗る者から、警察と湯川准教授へ挑戦状が・・・。自ら殺人を犯しても事故と判断するしかないと豪語する犯人。
 短編としては若干長めですがあきることなく一気読みですね。「超高密度磁気記録における磁歪制御に関する研究」なんて相変わらず科学的には訳わからんのですが、小説としては釘付けでした。

 「探偵ガリレオ」からだともう10年になる?のかな?刊行当初は変人という設定がありながら、自分には裏に隠れた人の優しさみたいなものを感じた作品でした。
 サイエンスをメインで張っていながら、実は湯川や草薙の人間像を浮き彫りにすることが狙い?そんな風に感じたのです。
 しかし、東野さんのインタビュー記事にそういった記述を見つけることは出来ませんでしたし、純粋に理系を強く出したいだけの作品だったようですが、それでも、本作を読んでも、やはり自分の中の湯川は人間味に溢れた人物に感じますね。
 今回から内海薫なる女性刑事が登場しますが、ドラマではおなじみになってますかね。ドラマによる映像が邪魔してなかなか白紙のまま内海を感じ取れませんでしたが、まそれはそれで良しとしましょう。
 「探偵ガリレオ」はサイエンス的に
 「予知夢」はオカルト的に
 本作は???人の心を科学したということでしょうか、それでは「聖女の救済」が待ってますのでこれにて。
ガリレオの苦悩
文藝春秋
東野 圭吾

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